呼吸器の薬

 
 
 
 
 
呼吸器系の主な病気には、急性及び慢性の気管支炎、気管支狭窄、
気管虚脱、肺炎などがあります。
 
 

●気管支拡張薬

 →気管を広げて呼吸を楽に
 →お茶に含まれる成分であるテオフィリンやその合成物であるアミノフィリン
  ベータ遮断薬のひとつイソプロテレールなどは、気管の筋肉の収縮を抑え、
  気管を広げて呼吸を楽にします。
  気管支狭窄や、小型犬に多い気管虚脱(気管が潰れる病気)などの治療に
  使われます。
  また、小型犬にまれにみられるぜんそくにも、この薬と抗アレルギー薬が
  用いられます。
 

●鎮咳薬

 →せき中枢に働く薬
 
 →せきを止める薬です。
  せきは、気管や気管支の中に異物を外に出そうとする反射運動で、
  本来は動物の持つ自然な防御反応です。
  しかし、気管支炎や肺炎などにともなう激しいせきは治療の必要があります。
 
  鎮咳薬には麻薬性のコデイン(錠剤は麻薬指定ではありません)、非麻薬性の
  デキストロメルファンやのスカピンなどがあります。
  これらの薬はせきを起こす咳中枢神経に作用して、せきの発生を抑えます。
  また、エフェドリンやテオフィリン、アミノフィリンなどの気管支拡張薬は
  咳中枢には作用しませんが、気管を広げることによってせきの反射運動を
  抑える働きも持っています。
 

●抗生物質
 
 →細菌感染の治療と予防
 
 →鼻からのど、気管、気管支、そして肺にいたる呼吸器はどれも、細菌や
  ウイルスなどの感染の危険にさらされています。
  そこで細菌などを殺す効果のある抗生物質が、急性、慢性をとわず呼吸器系の
  病気の治療に広くもちいられます。
  特に肺炎は命に関わる疾患であり、抗生物質の適切な選択が重要です。
  ウイルスの感染が原因の病気でも、こじらすと細菌の二次感染をまねくため、
  予防の意味でも抗生物質(及び合成抗菌薬)が使われます。
  よく使われる抗生物質はペニシリン系とセフェム系です。
 

 ●抗炎症薬

 →種々の呼吸器病に効く
 
 →炎症をしずめる抗炎症薬にはステロイド系と非ステロイド系があり、
  呼吸器病の治療には前者が使われます。

  ▲副腎皮質ステロイド薬

   抗炎症作用のある副腎皮質ステロイド(プレドニゾロンやデキサメタ
   ゾンなど)は、気管支狭窄、気管虚脱、アレルギー性および急性、
   慢性の気管支炎など、炎症をともなう病気に頻繁に使用されます。

 

●利尿薬

 →肺にたまった水を出す
 
 →先天性の心臓病である僧帽弁閉鎖不全や、フィラリアの寄生による
  フィラリア症などが進行して心不全になると、肺静脈のうっ血が起こり、
  肺に水がたまります。これが肺水腫です。
  このような症状には利尿薬が有効です。
 

●呼吸促進薬/抑制薬

 →呼吸の異常を治療する
 
 →イヌが呼吸不全を起こした時には緊急時の治療として、ドキソプラムや
  ジモルホラミンなどが呼吸促進薬として用いられます。
  また呼吸が活発になりすぎる過呼吸という症状には、麻薬のモルヒネが
  呼吸抑制薬として有効です。
 

 使用の時の注意

  気管拡張薬のテオフィリンには中枢神経を興奮させる作用のあり、
  量が多いと運動機能の異常を起こします。
  同じくイソプロテレールにも、心臓の収縮力を高めたり拍動を速める
  副作用があります。これらの薬は過剰に投与しないように注意します。
  作用の仕方が異なるため、2つを同時に使用してそれぞれの量を減らす
  ことで副作用を軽くすることもあります。

  副腎皮質ステロイド薬の抗炎症作用は大変強く、気管や肺の炎症に有効です。
  しかし感染症を悪化させるなど副作用も強いため、症状が改善されたら薬の
  量を少しずつ減らすなど、症状の一時的な改善のみを目的とした使い方をし
  ます。

  慢性の気管支炎には、抗生物質をはじめとして気管拡張薬、鎮咳薬、利尿薬
  など様々な薬が使われますが、根治が難しいのが現状です。
  口内の細菌も症状を悪化させる一因と考えられており、口内を殺菌し清潔に
  することで症状が改善することがあります。


 
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