
目と耳の病気
■ 目の病気
・結膜炎
→まぶたの裏側が炎症をおこす
→まぶたの裏側にある結膜が炎症をおこす目の病気で、ネコはしばしばこの病気になります。
結膜炎になると、結膜が赤く腫れて涙が出る、目ヤニが出る、むくむ(浮腫)などの症状が出ます。
片目だけのときもありますが、両目ともに結膜炎をおこすときもあります。
とくに、ウイルスに感染して伝染性の呼吸器の病気などになった場合は、両目が結膜炎になります
・角膜炎
→目に傷がつき炎症をおこす
→目の表面をおおっている角膜が炎症をおこした状態を角膜炎といいます。
角膜炎になったネコは目がたいへん痛く、また光がまぶしいので、涙をさかんに出します。
角膜炎を引きおこす原因として、結膜炎が悪化する、異物や刺激物によって角膜が刺激される
感染症になったり外傷を受けるなどがあります。とくにネコの場合、他のネコとケンカをして
爪で目を引っかかれ、そのケガが原因となることが少なくありません。
・まぶたのケガ
→眼球が傷ついているおそれも
→ネコは、いろいろな原因でまぶたに傷を受けます。
とくにめだつのは、打撲や他のネコにかまれた傷です。
・眼瞼内反症
→まぶたが内側に折れ、角膜を傷つける
→眼瞼内反とは、まぶたのふちが内側に折り返された状態をいいます。
上まぶたまたは下まぶたが内側に入りこむので、皮膚に生えた毛(ネコにはまつげはない)が
角膜にあたって刺激します。
とくに上まぶたはひんぱんに動くので、内反していると角膜への刺激が強くなります。
先天性の内反はネコではめったにありませんが(イヌではかなり多い)
まれにペルシャネコでみられます。
・瞬膜の露出(突出)
→片目か両目かによって原因が異なる
→まぶたとともに眼球を保護する瞬膜(第三眼瞼)は、角膜全体をおおう広さをもっています。
健康なネコの瞬膜は、目頭の奥にかくれて見えるか見えないか程度です。
しかしこの瞬膜が目頭から出て、目をおおった状態になることがあります。
このような状態を、瞬膜の露出または突出といいます。
この目の異常は、いろいろな動物の中でもネコにもっともはっきりと現れます。
これは瞬膜の病気ではなく、ネコの目または体のどこかに異常があるときに現れる症状です。
したがって、瞬膜が露出しているかどうかは、ネコの健康をチェックするひとつの目安になります。
・流涙症(涙目)
→まぶたと眼球が癒着することも
→流涙症とは、涙がまぶたからあふれて顔に流れ落ちる状態をいい、涙目とも呼ばれます。
このような涙の流出は主に目頭からおこり、ネコは流れ落ちる涙によって目頭の下の毛がつねに
汚れた状態になります。ネコが涙目になる原因には、涙を出す器官(涙器)が生まれつき奇形である
細菌などに感染した、涙がつねに過剰に分泌する病気にかかっているなどがあります。
また、鼻が極端に短いヒマラヤンやペルシャネコなどでは、しばしば頭の形そのものが涙のすみやかな
排出をさまたげ、流涙症を生じやすくしています。
・緑内障
→眼圧が異常に高くなる
→緑内障は、目の機能を正常に保つうえで適切な圧力以上に、眼圧(眼球内部の圧力)が
高くなるためにおこる病気です。
この病気が進行すると、目の奥にある視神経が圧迫されて視力障害が現れます。
ときには視力を失うこともあります。眼球は全体が閉じた袋状になっており
これを適度にふくらませて眼球を正常な形に整えているのが眼圧です。
眼圧は、角膜の後ろにある液体(房水)がつねに一定量に保たれることによって
正常な状態を維持しています。
しかし、何らかの理由で房水の分泌と流出とのバランスがくずれて房水が増えてしまうと
眼圧が高くなり、緑内障が発症するのです。
・進行性網膜萎縮(びまん性網膜変性症)
→タウリンの欠乏が最大の原因
→目の奥(眼底)にある光を感じる光受容層に異常が生じる眼病で
網膜が変性してうすくなった状態です。
イヌがこの病気になる場合、多くは遺伝性だとされています。
しかしネコでは、遺伝性の網膜変性はほとんどありません。
ネコがこの病気になるおもな原因は、栄養に関係しています。
とくにタウリン(ネコの必須アミノ酸)の欠乏した食べ物を食べているネコでおこります。
・脈絡網膜萎縮
→全身性の病気の合併症としておこる
→脈絡網膜炎は、網膜と脈絡膜が炎症をおこす病気です。
網膜と脈絡膜は隣りあっており、しばしば脈絡膜が炎症をおこすと、続いて網膜に炎症が広がります。
炎症が視神経にまで波及すると、ネコは視力の低下をおこします。
■ 耳の病気
・耳のケガ
→ネコどうしのケンカが大きな原因
→ネコの耳は頭からつき出ているので、ネコどうしがケンカをすると、引っかかれて傷ついたり
かまれて裂けたりすることが少なくありません。
耳のケガはとくに、屋外を自由に歩きまわって他のネコに出会うネコに多くみられます。
・耳血腫(耳介血腫)
→耳が異常にふくらむ
→耳に分布する血管が破れて内出血をおこし、皮膚と耳介軟骨の間に血液や漿液がたまった状態です。
耳が異常にふくらんでいます。
・耳ダニ症 (耳疥癬)
→放置すると慢性外耳炎になる
→おもに外耳道の皮膚の表面にダニ(ミミヒゼンダニ)が寄生することによっておこる
急性または慢性の外耳炎の症状をいいます。
・外耳炎
→シャンプーが原因になりやすい
→外耳道(耳の穴)および外耳道の入口のまわりに、急性あるいは慢性の炎症がおこることがあります。
これを外耳炎(または外耳道炎)といいます。ネコの外耳の病気でもっとも多いのがこの病気です。
多くの場合、外耳に耳アカがたまって変質し、外耳道の皮膚に刺激を与えたり、しめった耳アカに
細菌が繁殖して二次感染するなどが原因となって発症します。
外耳炎は、放置しておくと慢性的な炎症をくり返し、なかなか治りにくくなります。
ときには炎症が中耳から内耳にまで広がることもあるので、早期の治療が必要です。
・中耳炎
→運動失調を引きおこす
→中耳に炎症が生じた状態で、一般には外耳炎からの二次的感染によっておこります。
