■ 一般的な皮膚病
・脱毛症
→部分的な脱毛は要注意
→イヌの皮膚は密集した被毛でおおわれていいます。
春や夏には上毛とよばれるじょうぶな毛だけが生えていますが、秋から冬にかけては
上毛に加えてやわらかな下毛が生え、イヌの体温調節を助けます。
気候があたたかくなると、下毛が抜けて大量に脱毛しますが、これは体の自然のはたらきなので
とくに心配はいりません。
しかし、部分的に脱毛したり、全身の被毛が極端にへるときには病気が原因と考えられます。
・膿皮症
→皮膚がうんで、ひどくかゆくなる
→イヌの皮膚や被毛はいつでも、細菌が少なからず付着しています。
しかしふつう、皮膚が健康であれば、それらがむやみにふえて皮膚に病気をおこすことはありません。
それは皮膚自体が菌の異常な増殖をおさえる力をもっているためです。
しかし、たとえば体の免疫力が低下したり、年をとったりして皮膚が抵抗力を失うと、
菌が異常にふえ、皮膚が化膿することがあります。これを膿皮症とよびます。
・脂ろう症
→皮膚がべとついたりかさついたりする
→栄養のかたよりや、寄生虫や細菌の感染によって、皮膚から脂が異常に分泌されたり、
皮膚の角質化が極端に進むことがあります。これを脂ろう症といいます。
これはネコではあまりみられませんが、イヌには多い病気です。
■ 寄生虫やカビによる皮膚病
・ノミによる皮膚病
→人間にも被害をおよぼす
→ノミがイヌの血を吸うとき、その唾液が原因になってアレルギー性の皮膚炎をおこすもので
これをノミアレルギー性皮膚炎(ノミ刺咬性皮膚炎)といいます。
この病気を治すには、患部の治療と同時に、原因となるノミをイヌの生活環境から
駆除しなければなりません。
・毛包虫症
→ダニが毛根に寄生する皮膚病
→イヌの被毛の根元にある皮脂腺に、ダニの一種の毛包虫が多数寄生して、脱毛や皮膚炎をおこします。
イヌがかかる代表的な皮膚病のひとつで、かつては治りにくい皮膚病の代表でした。
近年では毛包虫を殺す抗生物質が開発され、その他の治療法も進歩したために治すことが
可能になりました。一時期はほとんど診察する機会がないほど数がへったのですが
最近、ふたたびふえてきている皮膚病です。
・疥癬
→ヒゼンダニが皮膚に住みつく
→皮膚にダニの一種、イヌセンコウヒゼンダニ(疥癬)が寄生しておこる皮膚病です。
皮膚にフケが出て、はげしくかゆみをともなう皮膚炎をおこします。
このヒゼンダニは人間にも感染します。
・ツメダニによる皮膚炎
→大量にフケが出る
→ツメダニの寄生によっておこる皮膚炎で、ケイレテイラ皮膚炎ともいいます。
接触によってこのダニは人間にも感染します。
・マダニの寄生
→血を吸って大豆大にふくらむ
→春から初夏にかけて木や草の多い地域や山の近くで飼われているイヌにしばしば見つかるのが
マダニの寄生です。マダニはイヌの皮膚から血を吸って大きくふくれます。
・ハジラミによる皮膚炎
→皮膚が不潔になる
→皮膚を吸血してかゆみをともなう皮膚炎をおこすシラミの寄生は
近年ではほとんどみられなくなりました。
しかし、同じシラミの仲間のイヌハジラミの寄生は、いまでもときどきみられます。
・ハエウジ症
→ハエの幼虫が皮膚を食い破る
→ハエがイヌの体表に卵を産み付け、そのウジが皮膚を食い破って皮下組織を傷つけます。
イヌはひどい痛みに苦しみます。
・白癬
→円形に毛が抜ける
→人間の水虫の原因となる白癬菌の近縁のカビが寄生しておこる皮膚病です。
円形の脱毛がおこるので、リングワーム(輪虫)といいます。
・酵母菌による皮膚病
→症状が出るまで気付かない
→イヌの体や皮膚には、さまざまな細菌やカビなどが寄生しています。
ふだんは被害を与えませんが、そっらが増殖すると、かゆみが生じたり皮膚病を悪化させたりします。
カビの仲間の酵母菌マラッセチアは、ふつうはイヌの耳あかに繁殖します。
しかし脂ろう性皮膚炎やアトピー性皮膚炎をおこした患部からもこの菌がたくさん見つかることから
これらの皮膚病を悪化させる原因と考えられています。
人間に寄生するマラッセチアも、アトピー性皮膚炎を悪化させる原因のひとつとみられています。
■ アレルギーによる皮膚病
・アトピー性皮膚炎
→ひどくかゆがり、体をしきりにかく
→イヌによっては、ほこりやダニ、花粉などに敏感に反応し、これらが空気といっしょに
口や鼻から入ってくると、アレルギーになって皮膚をしきりになめたりかいたりすることがあります。
このように、アレルギーをおこす物質(アレルゲン)を吸いこむことによっておこる病気を
アトピーといい、代表的なアレルギーのひとつです。
・食べ物によるアレルギー
→根気のよい治療が必要
→食べものに対しておこるアレルギーです。
食べものの中のある種の物質に対してイヌの体内に抗体ができると、その後同じ食べものを
食べたときにアレルギーの症状があらわれます。
卵や牛乳などのたんぱく質を多くふくむ食べものや、ある種のドックフードなどによって
おこることもありますが、イヌによって原因はさまざまです。
・接触によるアレルギー
→よくさわるものがアレルギーの原因に
→特定のものにさわることによってあらわれるアレルギーです。
イヌが日常使っているものやよくさわる器具の中に、アレルゲン(アレルギーをひきおこすもの)が
ふくまれていると、アレルギーになって皮膚が赤くなったり、かゆくなったりします。
・自己免疫による皮膚病
→鼻や耳が脱毛し、かさぶたができる
→動物は体を守るために免疫とよばれるはたらきをもっています。
体の中に有害なものが入ったとき、免疫はそれを攻撃し、体内からそれを排除しようとします。
しかし、免疫が何らかの異常をおこし、自分の体をまちがえて攻撃することがあります。
これを自己免疫疾患とよびます。イヌではよくみられる病気で、多くは皮膚に異常が生じます。
■ ホルモンの異常による皮膚病
・ホルモン性皮膚炎
→抜け毛がふえ、健康がそこなわれる
→ホルモンの異常による皮膚病は4~5歳以上のイヌにあらわれることが多い病気です。そのもっとわかりやすい症状は脱毛です。脱毛の時期でもないのに毛が抜けやすくなったり、地肌が見えるほどに毛が抜ける時にはこの病気を疑いましょう。病気の初期にはふつう、かゆみはほとんどありません。
・甲状腺ホルモンの異常
→脱毛し、皮膚が黒ずむ
→甲状腺ホルモンの分泌量が少なすぎると、地肌が見えるほど脱毛することがあります。犬種によっては胴体の両側が同じように脱毛します。イヌでもっとも多くみられるホルモンの異常です。
