外耳炎
外耳は耳介と外耳道からなり、鼓膜に音は伝える集音器の役目をはたす器官である。
外耳炎は耳介および外耳道におこる急性あるいは慢性の炎症を主徴とする疾患で、
発赤、痒み、耳垢の蓄積、膿汁の排泄や悪臭などがみられる。
原因としては、外傷、寄生虫、細菌、真菌、腫瘍およびアレルギーなどがあげられ
るが、それぞれ治療法は異なる。また、猫の場合は耳介が立っていること、
外耳道内に毛がないことにより通気性がよく、犬にくらべると外耳道の炎症の
発生頻度は少ない。
●外傷性外耳炎
おもに発情時の猫どうしのけんかが原因となり、耳介に外傷を生じ、
細菌感染などがあっておこる。疼痛、発熱、膿汁の排泄などがみられる。
去勢や避妊手術を実施することで発生頻度は低下する。
●寄生虫性外耳炎
耳疥癬(ミミヒゼンダニ)の寄生による。
激しい痒みのため、耳を振ったり、後肢で耳介や耳根部をひっかいたり
するため、自己による外傷性外耳炎を併発することもある。
●真菌性外耳炎
おもに耳介部では皮膚糸状菌が原因となり円形に脱毛し、痂皮(かさぶた)
を形成する。
外耳道内では酵母様真菌が原因となり、発酵臭をともなうタール様の耳垢の
分泌がみられる。
●アレルギー性外耳炎
アトピー性、あるいは食餌性などのアレルギーが原因となり、
左右対称性に耳介前縁に激しい痒みをともなった発赤がみられる。
●腫瘍性外耳炎
体毛が白色系の高年齢の猫で耳介になおりにくい潰瘍がある場合には
悪性腫瘍(扁平上皮がん)を疑う必要がある。