外耳炎・中耳炎

 
 
 
 
 
外耳炎は、急性あるいは慢性の外耳道上皮の炎症を主張とする疾患であり
耳介にまで及ぶこともある。
中耳炎は外耳道の奥の鼓膜より内側にある粘膜に覆われた鼓室(耳小骨を
おさめる)と耳管におこる炎症性の疾患である。
中耳は耳管を介して上部気道(鼻や咽頭)と連絡しているため上部気道の
感染が耳管や血行を介して上行性感染をおこしたりする。
外耳炎や外傷により、鼓膜の破裂や穿孔がおき、これが原因となって中耳
炎がひきおこされていることも多い。


 ●外耳炎

【原因と特徴】
 犬では外耳道の炎症が多発する。
 その原因は、外耳道に蓄積した耳垢に細菌や酵母が繁殖し、耳道粘膜に感
 染が成立したもの、その他、異物によるもの、耳疥癬(ダニ)の感染によ
 るものなどがある。
 また飼い主が綿棒を使って耳掃除をした際に耳道に傷をつけてしまったり
 耳道の奥へ汚れをかえって押し込んだりして炎症がおこることもある。
 その他、水浴などの際、耳道内へ水が浸入し、残留した水の浸潤と耳垢の
 貯留と変敗による刺激が重なって発症する例も多い。
 本症の発生頻度に季節性は認められないものの夏季には悪化する傾向がある。
 多発犬種には、コッカー・スパニエル、ラブラドール・レトリバー、ゴール
 デン・レトリバー、シー・ズー、ミニュチュア・シュナウツァー、ビーグル
 バセット・ハウンドなどがあげられている。
 これらの耳の立っていない犬種、脂漏体質の犬種などでは、耳道の通気が
 いため、細菌や酵母などの繁殖がおこりやすく外耳炎発生の原因のひとつと
 なっている。
 外耳炎が難治性である場合、中耳炎が存在していることもあるので注意を要
 する。

【症状】
 原因により症状は多様であるが、痒みや痛みを訴え、首や耳を振ったり
 後肢で耳根部や耳介をひっかいたり、患耳を下にして首を傾けたりする。
 痛みのため飼い主に耳や体をさわらせなくなり攻撃的になることもある。
 耳垢が多くなったり、耳に悪臭が伴ったりしたときは本症の疑いが強い。
 
 

 ●中耳炎

【原因と特徴】
 中耳炎には感染性とアレルギー性がある。
 中耳の感染は外耳炎からの波及や、耳管を介して鼻咽頭からの感染からおこ
 ることもある。
 感染性の中耳炎のうち、急性のものでは、中耳内に炎症性の水様成分が貯留
 する滲出性のものと、非滲出性のものがある。
 慢性の中耳に膿が貯留しているものや、鼓膜が破れて分泌物や膿が外耳道を
 通じて外耳孔から排出され、外耳炎と誤ることもある。
 また重篤な例では耳小骨が溶けたり、神経に炎症が及ぶこともある。
 またアレルギー性のものでは、耳管、外耳、鼓膜にも炎症がおこる。

【症状】
 耳根部を中心とした痛みがあるため、元気消失や頸部の周辺をさわられるこ
 とを嫌がることも多い。
 そのほか、頭を傾ける、咽頭のうっ血や扁桃の腫脹がみられる場合もある。
 また炎症が神経に及ぶと運動失調、斜頸、顔面神経麻痺などが発現してくる
 こともある。
 難聴になることもあるが、外観からは気がつきにくい。
 中耳炎は、中耳炎としての特徴的な症状が少ないため、臨床上外耳炎などに
 伴った二次的疾患としてとらえられることも多い。



●外耳炎・中耳炎の予防対策

 入浴時には耳内に水やシャンプーが入らないように注意し、入浴後は乾いた
 ガーゼや綿棒で外耳を軽くふきとり、耳内をつねに清潔にし、かつ乾燥させる。
 また耳道内に毛が密生している犬では毛を抜きとり通気をよくしておく。
 耳に異常を発見した場合には、飼い主の不適切な処置が原因となって、病気が
 悪化し慢性化する例が多いので、獣医師に相談することが大切である。
 治療を開始してからは完治するまで中断せずに通院することが必要である。


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