
呼吸器の病気
■ 鼻腔とノドの病気
・鼻炎
→ネコがかかりやすい重大な病気
→鼻は外の空気に直接さらされるため、ウイルスや細菌、真菌などの病原体におかされやすい場所です。
また煙や薬品などの刺激を受けやすいため、粘膜を刺激されて炎症をおこすことがあります。
ネコはイヌにくらべて呼吸器感染症にかかることが多く、鼻炎になりやすい動物です。
・副鼻腔炎
→放置すると蓄膿症になる
→鼻の奥は、副鼻腔という空洞になっており、鼻の粘膜はその奥まで続いています。
そこに炎症が広がると副鼻腔炎になり、症状が重くなると鼻汁がそこにたまって蓄膿症になります。
鼻炎が長びいたり重くなったときに、副鼻腔炎を併発することが多くなります。
・鼻出血(鼻血)
→原因がケガか病気かを見分ける
→ネコも鼻血を出すことがあります。
しかし人間のように「のぼせた」などといって急に出血するようなことは少なく、
鼻や顔面を打ったり、感染症をおこしたり、また鼻の周辺に腫瘍があったりと、
はっきりとした原因があることが多いようです。
・咽頭炎
→症状が重いと声が出なくなる
→ネコに多い呼吸器の感染症は、鼻炎だけでなく咽頭炎もおこします。
咽頭炎はイヌよりもネコの方が発生頻度が高く、乾燥して寒い冬の気候はより悪化させます。
■ 気管支と肺の病気
・気管支炎
→最大の原因はウイルス感染
→ネコは呼吸器の感染症にかかりやすく、鼻炎や咽頭炎と同時に気管支炎になることが
少なくありません。
このときのせきや呼吸困難などの症状は、咽頭炎や鼻炎のときより重くなることがあります。
・肺炎
→進行が速く、死亡するおそれがある
→ウイルスや細菌などによる呼吸器感染症の症状が進むと、ネコは鼻炎や咽頭炎だけでなく、
気管支炎や肺炎を併発することがあります。
また異物などをあやまって呑みこみ、肺炎をおこすこともあります。
ネコが肺炎になると急な発熱や呼吸困難をおこすことがあり、緊急の治療が必要になります。
■ 胸の病気
・気胸
→胸に穴があいて空気が入る
→ネコの胸の中に空気がたまり、肺が十分にふくらまなくなって呼吸困難におちいる病気です。
交通事故やネコどうしのケンカなどによるケガ、他の呼吸器の病気が原因になります。
・膿胸
→胸の中にうみがたまる
→イヌにくらべてネコに多い病気です。
胸の中にうみがたまり、肺を圧迫するため、ネコは呼吸困難をおこします。
呼吸器の感染症に続いておこることもありますが、他の呼吸器の症状が
それほどはっきりしていないにもかかわらず、急におこることもあります。
・横隔膜ヘルニア
→腹の臓器が胸の中に入る
→この病気はほとんど、ネコが交通事故などの強い衝撃をうけることによっておごります。
屋外に自由に出るネコは事故にあう可能性が高く、したがってこの病気にかかる可能性も高くなります。
そのようなケガをしたネコは、衝撃によって腹部と胸部をへだてている横隔膜が破れることがあり、
腹部の臓器がその穴から胸の内部へと押し出され、ヘルニアになります。
ヘルニアとは、もともと穴のないところが裂けたりして、そこから臓器がはみ出すことを意味します。