シニア・ドッグの体はどう変わる?
老化することで犬の感覚機能や脳、筋肉の動き、エネルギーも
代謝率は確実に衰えていきます。
それらの肉体の老化が原因で、犬が今までとは違う行動をとるようにもなります。
老化による、犬の肉体と行動の変化を理解しておきましょう。
老化による、犬の肉体と行動の変化を理解しておきましょう。
● 聴覚、視覚、嗅覚の順に衰えていく
老化による感覚機能の低下は、まず聴覚に出ます。
徐々に難聴になり、飼い主が名前を呼んでも気づきにくくなります。
若い頃から慢性外耳炎を患っていたことによる難聴や、頭部が左右どちらかに
傾く斜頸を起こす前庭疾患もよく見られます。
犬が頭を振る、耳をかくなどの行動が見られるときは、獣医師に診察してもら
いましょう。
● 代謝率が低下する
犬が7歳を過ぎると、エネルギーの代謝率が約20%低下します。
筋肉と脂肪率も低下して、体内の構成比率が変わってくるので、ドッグフード
や薬の摂取量、必要な栄養量も変化します。
老化により筋肉量も減るので、犬の行動がゆっくりになります。
老化しても、毎日の散歩は欠かさないようにしましょう。
毎日少しでも散歩をすることは、少ない筋肉を維持し、新鮮な空気を体内に取
りこむためにも必要です。犬の嗅覚だけは、老化してもほとんど衰えません。
感覚機能の老化を遅らせるためには、犬がストレスを感じない程度に外出して、
犬の聴覚や視覚、脳に適度な刺激を与えることが大切です。
シニア・ドッグは肺の弾力が衰え、肺活量が低下するので、体は酸素不足の状
態になっています。
また、心臓疾患にもなりやすく、タバコは犬にアレルギーを引き起こす要因と
なるので、シニア・ドッグの前での喫煙はとくに避けてください。
● 排せつをときどき失敗してしまう
若い頃はトイレシートの上で排せつができていた犬が、トイレ以外の場所でウ
ンチなどをしてしまうことがあります。
これは排せつをコントロールしていた脳の動きが衰えることと、椎間板変性が
脊髄の神経を圧迫し、膀胱の括約筋への神経伝達に障害が生じることが主な原
因です。
そこには病気がかくれているかもしれません。
愛犬が粗相をするようになったら、まず、獣医師の診察を受け、環境を整えた
うえでオムツなどの介護用品を上手に使用しましょう。
● 夜中に家の中を徘徊する
犬が一晩中家の中を歩きまわったり、夜中に理由もなくほえたりすることも
あります。
これは犬の痴呆が進んだ状態ですが、耳や目が衰え、周囲の状況がわからず
不安になっている場合も考えられます。
痴呆化した犬の生活が昼夜逆転してしまって、犬が昼間ウトウトしているな
ら声をかけたり、かまったりすることで、犬の体内時間を正常に戻すよう心
がけましょう。
五感が衰えて心細くなっていることが原因なら、犬の寝る場所を自分たちの
寝室に移動させるなど、飼い主が近くにいることを伝えて、犬の不安を解消
させましょう。
● 問題行動をする犬もいる
感覚機能の衰えによる恐怖心や、慢性的な病気による痛みから、犬が神経質に
なったり攻撃的になったりすることがあります。
それまで従順な性格だったのに、飼い主が触ると過敏に反応して攻撃的なしぐ
さが見られる場合、聴覚や視覚、または体のどこかに異常があるかもしれません。
同じ場所を何回もまわり続けたり、壁やすき間に頭を押しつけたりすることもあ
ります。
認知障害、もしくは環境の変化が原因である場合が多いので、獣医師に相談をし
ましょう。
加齢とともに不安感が増し、飼い主への依存度が高くなることもあります。