■ 寄生虫やカビによる皮膚病 ・ノミによる皮膚病 (ノミアレルギー) →ひどいかゆみと小さな発疹 →ノミはたいへん種類が多く、世界では2000 種以上、日本でも70種も見つかっていま す。 このうち、一般にネコに寄生するノミはネ コノミです。 しかしイヌノミがネコの体から見つかるこ ともあります。 飼い主が非常に注意して駆除を行わないか ぎり、ほとんどのネコは気温の高い季節に なるとネコノミに寄生されます。 ネコノミはネコだけではなく人間をも刺す ので、ネコの飼い主がかゆみや発疹を訴え て人間の病院を訪れ、ネコにノミが寄生さ れていることがわかる例も増えています。 ・ツメダニ症 →大量のフケが出る →足に大きな爪をもつネコツメダニがネコに 寄生すると、ネコはこの皮膚炎をおこしま す。 このダニは非常に小さいので、肉眼ではな かなか見つかりません。 ネコのかゆみはそれほどでもなく、飼い主 が刺されてはじめて、このダニが ネコに寄生していることに気づく例もある ようです。 ・疥癬(ヒゼンダニ症) →顔や耳が脱毛する →体の丸いダニです。ネコに寄生したヒゼン ダニは、皮膚の表面に穴をあけてその中で 生活します。 ネコはひどいかゆみを感じて体をはげしく 引っかきます。 ・その他のダニ症 →今後、感染が増える可能性も →ツメダニやヒゼンダニ以外にも、まれにネ コに感染するダニがいます。 とくに海外から輸入されているネコに見つ かったダニは、今後、感染する例が増える 可能性があるので注意が必要です。 ・白癬(皮膚糸状菌症) →丸く毛が抜ける →酵母やカビの仲間(真菌の一種)の糸状菌 に感染する病気です。 ネコにはイヌ小胞子菌がもっともよく感染 するようです。 白癬(皮膚糸状菌症)はかつては若いネコ に多くみられましたが、最近では中年や高 齢のネコにも感染する例が増えているよう です。 ■ その他の皮膚病 ・ストレスによる脱毛症 →なめつづけて毛が抜ける →ネコは本来は仲間とのかかわりを好まない 動物です。 しかしいまの人間社会で飼われているネコ は、本来の習性にふさわしい暮らしはでき ません。 そのため、なかには強いストレスを感じて 神経症になり、ひどくやせたり脱毛するネ コもいます。 ・対称性の脱毛症 →体の両側が同じように脱毛する →体の毛が異常に多く抜け、地肌が見えてき ます。 被毛がうすくなった部分は、体の左右でほ ぼ対称になります。 ネコにはよくみられる皮膚の病気です。 ・クッシング症候群 (副腎皮質機能亢進症) →薬の与えすぎが原因になることも →腎臓の上にある小さな臓器、副腎のはたら きが異常に活発になり、副腎皮質ホルモン が過剰に分泌される病気です。 最近では、副腎皮質ホルモン薬を長期にわ たってネコに与えたためこの病気になる例 があります。 ・ニキビ(ネコざ瘡) →下あごが脱毛する →ネコにはたいへん多い病気です。 下あごが脱毛し、赤い斑や小さなブツブツ ができます。 これはいわゆるニキビで、皮脂が皮膚の外 に出られなくなっている状態です。 人間のニキビは思春期にできますが、ネコ では年齢はあまり関係ないようです。 また、いったんこの病気になると、くり返 し発症することが多いようです。 ・尾腺炎(スタッドテイル) →尾のつけ根がふくらむ →ネコには、背中の尾のつけ根の近いところ に、脂を分泌する腺がたくさん集まったと ころ(鼻腺)があります。 この部分が炎症をおこしたものを鼻腺炎、 またはスタッドテイルといいます。 ・肉芽腫 (好酸球性肉芽腫症候群) →全身のあちこちが脱毛してかゆい →ネコによくみられる皮膚病のひとつです。 全身のあちこちが脱毛し、ひどいかゆみを ともなう炎症が生じます。 皮膚炎をおこした部分からは白血球の一種 である好酸球が見つかるため、正確には 「ネコの好酸球性肉芽腫症候群」と呼ばれ ます。 ・肉球の皮膚炎 (形質細胞性皮膚炎) →足の肉球がむくむ →ネコの足の肉球がむくみ、ときには潰瘍を おこす病気です。原因はよくわかりませ ん。 この病気になると、肉球の表面から免疫細 胞の一種である形質細胞(プラズマ細胞) がたくさん見つかるので、この皮膚病は 「形質細胞性皮膚炎」と呼ばれます。 ・日光過敏症 →皮膚ガンに進行することも →強い日光にさらされたために皮膚炎になる 病気で、白いネコに多くみられます。 とくに頭部の毛が抜け、その部分の皮膚が ただれたり潰瘍ができることが多いようで す。 この皮膚炎を放置すると、ガンに進行する こともあるので注意が必要です。 ・食事性アレルギー →強いかゆみのために体を引っかく →たいていの人にとっては何でもなくても、 特定のものを食べるとじんましんが出たり 吐いたりする人がいます。 このように、ふつうは害のない食べ物に対 して異常な反応を示すことを食事性アレル ギーといいます。 ネコもまれに、特定の食べ物に対してアレ ルギー症状を示します。 ![]() |